食のビジネス「パタゴニア プロビジョンズ」から見る、パタゴニアの環境への姿勢
2016年9月15日、アウトドアアパレルブランドのパタゴニアは、環境志向の食品を揃えた「パタゴニア プロビジョンズ」を日本で開始しました。パタゴニアといえばダウンジャケットやコットン衣類など、環境に配慮した製品へのこだわりを見せる企業ですが、今回の「パタゴニア プロビジョンズ」も食と環境を見つめ直した事業として始めたようです。
パタゴニアの製品の環境へのこだわり
きっかけはコットン製品
1988年に創業したパタゴニアは、開店してまもなく、工場の職員が頭痛などの体調不良を訴えるようになったそうです。そこで調べてみたところ、コットンの仕上げ加工の段階で加えられた化学薬品によるホルムアルデヒドが原因であったことがわかりました。それ以来コットン製品はオーガニックコットンのみを使用するようになりました。
さらにパタゴニアの名のもとに行われる全製造過程を調査
オーガニックコットンの使用に続いて、パタゴニアは作物から素材、製造過程のサプライチェーンでパタゴニアの名の下に行われる全過程を調査しました。そして全ての環境への影響を公表する様にしたのです。
パタゴニアの代表的なダウン製品も、トレーサブル(追跡可能な)・ダウンという、製造過程をすべて確認できる、動物福祉に配慮した製品となっています。「吟味された生活を実践することは面倒なものだ」とは、パタゴニアの創設者イヴォン・シイナードさんの言葉です。
長年、売りあげの1%を環境保護団体へ寄付
さらにパタゴニアは長年にわたり売上の1%、総額で6,600万ドル相当の寄付を、米国内外のそれぞれの地域で活躍する草の根環境保護団体に行ってきました。しかしそれは一般的な慈善活動ではなく、パタゴニアが製品を作る過程で及ぼす環境負荷を少しでも相殺するために行っています。そして、1% for the Planet (1%フォー・ザ・プラネット)という、同じビジョンをもつ企業の同盟を作りました。
そんなパタゴニアの食ビジネス「パタゴニア プロビジョンズ」とは
パタゴニア プロビジョンズ
環境志向の高い製品作りに情熱をかけるパタゴニアが次に選んだのが食品産業です。人間の生活によって脅かされる食物連鎖の破壊や、農薬をはじめとした化学薬品の使用、遺伝子組み換え食品など、変革をもたらすのに急務だとパタゴニアは言います。そこで食の環境問題に対処する食品を生み出すプロジェクトが「パタゴニア プロビジョン」です。
天然かつ持続可能性を見極めた「サーモンの燻製」
無差別に捕獲され、野生のサーモンは危機にさらされています。このサーモンの燻製は個体数が豊かで且つ持続可能な群れのみから捕獲して製品化しています。
有機認証済みの食品だけを使用した「ツァンパ・スープ」
肉類や乳製品は一切使用せず、煎った全粒穀物、有機野菜、ハーブ、スパイスをミックスしたコクのある風味豊かなスープです。ヒマラヤのシェルパからヒントを得て、タンパク質や食物繊維などを豊富に含んでいます。
話題のチアシードを含んだ「フルーツ・バー」
非常に優秀な栄養素を含むチアシードを使用した携帯食です。「マンゴー+アーモンド・バー」と「アプリコット+アーモンド・バー」「インカベリー+アーモンド・バー」の3種類があり、当然遺伝子組み換えのない有機栽培による農作物を使用しています。
是非手に取って食べてみてください
数々の製品の製造過程で、地球環境への配慮とクオリティを追求しているパタゴニア。食品産業においても「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」よう働きかけています。